瀬織津姫とは
早池峯神社御祭神 瀬織津比売神(せおりつひめのみこと)
早池峰山周辺の瀬織津姫を御祭神とする神社
- 早池峯神社(大迫)
- 早池峯神社(遠野)
- 早池峯神社奥宮(早池峰山山頂)
- 早池峰新山神社(宮古市門馬)
- 早池峯神社(下閉伊郡川井村大字江繋)
- 大償神社(大迫)
- 田中神社(大迫)
- 他(岩手県は、瀬織津姫を祀る神社の数が23社あり47都道府県で最多となっています。)
早池峯神社は、古代からの山岳仰・修験道の聖地としての役割を果たしてきました。
早池峰山の湧水、伏流水、雪解け水雨水の流れが川になる土地であり、清らかな水とともに、人々の穢れを祓い、生命の流れを浄化する場として大切にされています。
早池峰山の豊かな自然とともに、人々の心身を清め、厄を祓う聖地として、多くの参拝者が訪れる場所となっています。
瀬織津姫が主に水に関わる神様とされ、穢れや罪を祓い清める役割を持つとされ、特に浄化や水に関わる神として知られる由縁をまとめました。
全国で瀬織津姫が祀られている神社
- 賀茂神社(京都・賀茂川)
- 瀧神社 (岐阜県美濃市)
- 六甲比命大善神社(兵庫県神戸市)
- 伊勢神宮荒祭宮(三重県伊勢市 天照大御神の荒魂を瀬織津姫として祀っている神社)
- 廣田神社(兵庫県西宮市 天照大御神の荒魂を瀬織津姫として祀っている神社)
- 朝宮神社(徳島県佐那河内村 天照大御神の荒魂を瀬織津姫として、祀っている神社)
瀬織津姫が登場する書物など
『古事記』
『古事記』には、「瀬織津姫」という名前そのものは直接登場しません。
ただし、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が須佐之男命(すさのおのみこと)の乱暴な行為によって穢れを負い、禊(みそぎ)を行った場面があります。
この禊の際に、複数の神が生まれたと記載されていますが、具体的に「瀬織津姫」という名は挙げられていません。
具体的には、天照大御神が川で身を清めたときに生まれた神々として、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)や大禍津日神(おおまがつひのかみ)などが登場します。
『日本書紀』
『日本書紀』でも、「瀬織津姫」という名前が明記されている記述は見られません。ただし、『日本書紀』の「一書曰(あるふみいわく)」という異伝の中で、天照大御神の禊に関連する神々の記述があります。ここでも具体的に瀬織津姫の名前は出てこないものの、水や浄化に関連する神々の誕生が語られています。
『大祓祝詞』
大祓祝詞には、以下の四柱の神々が祓戸の神として登場します。
- 瀬織津比咩(せおりつひめ)
- 速開都比咩(はやあきつひめ)
- 気吹戸主(いぶきどぬし)
- 速佐須良比咩(はやさすらひめ)
これらの神々は、罪穢れを祓い、川から海へと流し、最終的に根の国(地下の世界)へと消し去る役割を担うとされています。
瀬織津姫が「神大川(かみおおかわ)に坐(ま)す」神として登場し、罪穢れを川の流れに預けて清める存在とされます。具体的には、「諸々の禍事罪穢有らむを、神大川に坐す瀬織津比?と云ふ神、持ち出でて」とあり、穢れを川に流す最初の段階を担っています。
『ホツマツタヱ』
『ホツマツタヱ』において、瀬織津姫(せおりつひめ)は非常に重要な神として登場します。
- 水と祓いの神としての役割
『ホツマツタヱ』では、瀬織津姫は水を司る神として明確に位置づけられています。特に、川や海の流れを通じて穢れを洗い流し、浄化する力を持つとされます。
これは、『古事記』や『日本書紀』の禊のエピソードをさらに発展させた形で、彼女が自然界の清浄を保つ存在として描かれています。 - 天照大御神との関係
『ホツマツタヱ』では瀬織津姫が天照大御神と深い結びつきを持つとされています。
一部の解釈では、天照大御神の「もう一つの側面」や「陰の部分」を担う存在とも言われ、太陽神である天照と対をなす水の神としてのバランスが強調されます。
この関係性は、正史には見られない独自の視点です。 - 封印と悲劇の物語
『ホツマツタヱ』には、瀬織津姫が何らかの理由で「封印」されたという伝承も含まれています。
例えば、彼女が穢れを一身に引き受けて封じられた、あるいは他の神々との軋轢から隠されたとする説があります。
この物語は、後に民間信仰で「瀬織津姫が秘された神」として語られるきっかけとなり、神秘性を高めました。